巽橋は大島川西支川にかかる小さな橋。深川を縦横に走る川の役割は、水路として物資運搬や人の往来、海水と川の水が微妙に混ざるため腐敗が起きにくい点を利用して材木の係留、漁業としての仕事場、などに分けられますが、巽橋界隈は、狭い川幅に小舟がもやわれて漁業としての地であることを思わせる風景に出合うことが出きます。今回はこの辺りを。
★本日のメニュー(所要時間5時間)
『大江戸線・半蔵門線、清澄白河駅』→『紀文稲荷』→『巽橋』→『ヤマタネ倉庫』→『越中島公園』→『相生橋』→『川に沿ってサイクリング道路』→『大川端リバーシティ』→『中央大橋』→『住吉神社』→『佃橋』→『大江戸線・月島駅』
★出発!
清澄白河の駅から清澄庭園の方に向かいます。庭園の入り口を通り越してそのお隣の清澄公園を通り過ぎると、信号の無い交差点に出るのでそこを左折。右側はタクシーの営業所。変な起点場所ですが、今回はここからひたすら南下していきます。実はこの道は後ろ(北)に戻ると先回の散歩の絵センスで取り上げた、万年橋、松尾芭蕉記念館のある一つ目通りの続きの地点ということにもなります。
★今昔混沌
これからたくさんの橋を越えたり、その脇を通ったりするので数えていくことにします。
最初の信号を過ぎて、仙台掘川に架かる『清川橋(1)』を渡ったところが大島川西支川。しばらくはこの川とそれにかかる橋を左に見ながら進みます。『松永橋(2)』『豊島橋(3)』を過ぎると前方に首都高速とその向うに大川端リバーシティのビルが見え始めてきます。首都高速の架橋をくぐって『緑橋(4)』『御船橋(5)』。倉庫街の間を歩いているので無機質な部分も残っていますが、ここらあたりも時代の波でしょうか、大きな倉庫跡地がマンションに変身していくらしく、工事音が騒々しい場所もあります。御船橋を過ぎて右側に紀文稲荷神社。ここは、みかんを江戸に運び財を成した豪商紀伊国屋文左衛門の船蔵があった辺りで、航海の安全を祈って建立と説明書きにあります。ここを通り越した先に見えてきた大通りは永代通り。直進したいのだけれど信号がありません。轢かれても困るので右側永代橋寄りの信号を渡ります。
ここから先は今昔混沌と名づけたらよいような趣が楽しめます。激しい交通量の永代橋通り、『お春』というラーメン屋、その手前にかかっているのが『福島橋(6)』。川にお尻を向けた小さな家々、係留の釣り船、屋形船、佃煮屋さんの看板、そしてこれらに覆いかぶさるかのような大川端リバーシティの高層ビル群。これがまとめて目に入ります。まさに混沌です。同行のカメラさん、混沌風景を縦に斜めに、バチバチ始まりました。福島橋を左に見てさらに直進すると『巽橋(7)』。江戸城から見て深川の方角が辰己(南東)に当たるのでこの地名が残っています。巽と辰巳の用いる字の違いは何故かは、よくわかりません。ごめんなさい。この巽橋で大島側西支川は行き止まりです。この川に沿ってやってきた道も行き止まり。橋の歩道部分の脇に、近所の方が手入れしている植木がたくさん並べてありました。巽橋に立って、来た方角の福島橋を振り返ると、小さな船、大きな船、少し曲がった川筋、風情があります。
巽橋を渡ります。目の前にヤマタネ倉庫。この倉庫に入ってしまいそうかなと思うような道が橋を渡った右側にありますが、この右側の道、川に沿った方に勇気を持って行ってください。そう、人生は時には勇気です。"勇気と元気は使わないと涸れてしまう"。余談だけどこれさだまさしコンサートの最後にさださんが必ずいう言葉。余談余談削除削除。そんなこと思っているうちにカメラさんがヤマタネ倉庫に入って行ってしまった。「おおぃ〜!そっちじゃないわよぉ〜!」。「ナビだろぉ。ちゃんと教えろよぉ!」むむむ、カメラさんの逆襲。
巽橋を越えて右折して、ヤマタネ倉庫に入らないように気をつけて……、よく見ると橋が二つあります。一つはヤマタネ倉庫に入ってしまう『練兵衛橋(8)』。後ほど目にしますが、この近所に東京商船大学があります。戦後、この辺りが陸軍の連兵場になったり、自衛隊の本部が置かれたりしたこともあったそうで、橋の名前はその当時の名残のようです。今日のコースで渡るのは青色に塗った『越中島連絡橋(9)』です。
★びっくり!
大島川水門を右に見ながらこの橋を渡ると、前方隅田川の護岸に沿って上りの細い道があります。上ります。上りつくと、視界は一気に開けます。ホント、おお〜っていう感じ。太字にして飾り罫つけて、さらに感嘆詞5つくらいつけたいくらいの、風景の変化です。今までの深川の泥臭さが雲散霧散!
正面に中央大橋、左側と右側に隅田側が大きく分岐を見せています。左側の流れは相生橋の下をくぐって晴海運河に。右側は隅田川の本流で勝どき橋をくぐって東京湾に行っています。浅草から出ているお台場行きの船もここを通ります。川の分岐になっているところが大きくせり出していて、これが大川端リバーシティ高層マンション群です。40階建てのマンションが6棟。億ションだそうで、お金持ちがいるんだなぁと違う意味でも感嘆、ため息。その他にも中層ビル群も多くあって、林立という言葉がぴったり。発展中の東京の巨大さが実感できます。
歩け歩け組み団体も、通過するのでどちらから来てどこにいらっしゃる聞いてみました。東西線門前仲町駅を出発地点にして、フォーターフロントの景色を楽しみながら、晴海からお台場に行くそうです。リュックを背負って、アジサイの花が咲く道をいかれました。時に海風の香りするこの護岸の道は、前方の相生橋(永代橋に相対してつけられた名称。両国橋に対してつけられた新大橋と同じです)を渡って、対岸に続きます。隅田川が分岐している最先端をぐるりと回ると佃大橋が見えますが、その少し手前に住吉神社があり、そこでまたもう一度深川の漁師町にもぐりこんだ感触に浸れます。今回の散歩の絵っせんすの隠れテーマは"今昔混沌"です。
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