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下町の顔
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第2回
『浅草橋のベーゴマ達人』

<プロフィール>
日本ベーゴマ協会所属。ベーゴマ海外普及特別大使(自称)メディアにベーゴマを廻す講師として出演中。集中力抜群の努力家。加工・研磨の出来栄えは業界で好評を得ている。浅草橋で広告デザイン会社を経営。一男の父。昭和34年生。
有限会社レオン 代表取締役
中島 茂芳さん

1.ベーゴマの歴史
★まずベーゴマの名前の由来から教えてください。
ばい貝を廻して遊んでいたものがバイゴマ、それがなまって『ベーゴマ』ということですね。ベーゴマの裏にある渦巻き模様が貝の名残です。明治時代に鋳物が出始めてベーゴマも鋳物の物が出るんですね。最初のベーゴマは名前の部分が渦を巻いていたんですよ。ベーゴマを真ん中から切ると丁度渦を巻いているような状態でJのように見えるんですね。

★形もいろいろあるんですね
ベーゴマの種類はもともとは丸だったんですね。丸いと、はじかないんで子どもたちが強くするために加工してくるんです。それを見た製造元が初めから角にすれば売れるんじゃないかと角をつけたんですけどね。だから、昭和2.30年代は丸が多かったらしいです。

ペーゴマにもいろんな種類があるんです
★巻き方やベーゴマの種類もさまざまですね。
ええ。大きく分けると男巻き、女巻き、関西巻きがあります。中でも女巻きが一番多いですね。廻し易いし全てのコマが廻せますから。男巻きはコブを一回りさせて、先についているコブと後についているコブをあわせなければいけないですね。高さが違ってくるとそれがあわなくなってくる。だから全てのベーゴマには無理。その点女巻きはどのベーゴマを使ってもコブは同じ位置ですからね。ベーゴマの種類としては、大きいほうには王様、さんがん、でか・・・正確には、高王様、中王様、ペチャ王様、そういう名前があります。小さいほうには角六なんてのがあります。表面に六大学の頭文字が刻まれています。Tは東京大学、Mは明治、Wが早稲田・・・。六大学の六と、そして角があるので角六ですね。角六よりちょっと低いのが赤中、それより低いのが厚ぺ、それよりちょっと低いのがぺちゃ。昔のものまで入れると、中でかというものもあったりして、全種類で20くらいですかね。

★うちのサイトは下町なのでその辺から聞きたいのですが、下町の子どもたちがベーゴマで遊んでいたというイメージがあるのですが、特に関係があるのですか?
関東にいた人が九州や北海道に行って広がっていった感じですね。関東はどこに行っても必ずやっている人がいますから。路地裏などで。勝負事でばくち性がありますから、上品な遊びとはちょっと言いづらいところで、そういうイメージで下町っぽいのではないでしょうか。でも実際は、私なんか群馬の田舎育ちですが、周りは皆やっていましたよ。

★ベーゴマの協会というものがあるそうですが、どのようなものですか?
日本ベーゴマ協会(NB)、川口ベーゴマクラブ、角六会、日本ベークラブ、関西ベーゴマクラブ。そのくらいじゃないですか。あと各地では小さいのはあります。サミットしますね。毎回集まるような人は40〜50人。実は各団体は対立はしてないんです。共存しています。自分たちが始めたという気持ちがあるんで、それぞれが団体の名前を名乗るのが大事なんですね。自分は協会ができる前から、お祭りがある場所に一人でバイクに乗って廻しに行ってました。だから団体ができないかなと思っていたら、7年前に、所沢の航空公園に行った時に日本ベーゴマ協会発足というチラシをもらって。ああこれでようやく大手を振ってベーゴマができると、嬉しかったですね。やはりそれまではどうしても、いい大人がベーゴマで遊んでいてちょっと引っかかるなというものがあったんです。

★協会でやっている分には恥ずかしくない?
ええ、全然恥ずかしくないですね。駅前だろうがなんだろうが。やっぱ一人で遊んでいるとなるとなんだか、ちょっと危ないんじゃないのって(笑)。好きだから毎日のようにやってしまうと大丈夫?って言われてましたから。

★協会の人はやっぱりうまいんですか?
うまいです。変です(笑)。手にまめを作っている。変だって言われるのが嬉しいという感じに思っている人間たちの集まりです(笑)。勝負に関しては子ども相手にだって負けてやらない。相手に失礼だから。協会の人は勝負の時の目が違う。一所懸命作ったベーゴマをとられてしまうわけですから。強いと思っていても負けることがある。その分、相手のいいベーゴマを取ったときは嬉しい。やったぁ!ですね、その気持ちは皆持っていますよ。

2.ベーゴマ、その魅力
★いくつくらいベーゴマを持ってるんですか?ベーゴマをしていて何が一番楽しいですか?
600個くらい持ってますね。楽しいのは知らない人でもすぐ友達になれることですね。相手を認めて、うまいじゃないと思いつつも負けるもんかと思いつつも、それでいて友達。大人になってから子どもや女の人と友達になるなんてなかなか無いんです。友達になれるなんてないですよ。それがいいですね。

加工されたベーゴマの数々
★600個持ってるその気持ちってどんなものなのですか?それを見るとうれしくなっちゃうとか?
そうですね。でも自分は加工が好きなんで、どう加工しようか、面取りして切れないようにしようか、とそちらのほうに興味がありますね。これ展示用につくったサイコロベーゴマですが。子どもに頼まれているからあげるものですね。(ピカピカ光る1センチ四方の小さいなベーゴマを出して)私はコレクターじゃないから自分の手元になくてもいいです。加工が好きで、あげると喜んでくれるのが好き。光ったのは真剣勝負にパッ!と入れると皆『ああすごい!』って寄ってくるんですよ。100個以上作っているんですが手元にはこの一つしか残ってないです。

★こんなにピカピカになるまで磨くんですか?
そう。紙やすりで。こんなザラザラの手になってしまうんです。

★これを磨いていると、奥様は何と?
いやあきれていますよ。最近はもう何も言わなくなりましたね。8時間くらいぶっ通しで紙やすりかけますね。日曜日の午前中かみさんが「バレーに行ってくるね」って出かけた時に、夕方帰ってきたら同じカッコウしてまだ削ってたって、驚いてました。間にコーヒーを一口飲んだくらい。夕方になってああ腹減ったなぁって。

★折角磨いたものを、何故あげちゃうんですか?
くださいって言われるから(笑)。

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