下町の顔 | FACE |
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第1回 『江東区最古の神社の宮司さん』 |
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亀戸香取神社宮司 香取邦彦さん |
今月から始まった下町の顔。ここは普段はちょっと会えない下町の有名人や、あまり知られてない下町の匠の人を訪ねるコーナーです。第1回目は江東区で最も古い神社の一つ、亀戸香取神宮の宮司、香取邦彦さんを訪ねてみました。(文中の★印はインタビューアーです) 1.神社とは・・・
仏教の伝来は西暦552年ですが、神道ははるか悠久の昔に人々の暮らしと共に自然発生しました。それが誇りですね。 ★歴史的に神社の位置づけとはどのようなものですか? 現在は各都道府県に神社庁がありそれを取りまとめて神社本庁になります。横の関係は系統的に香取神社連合会、天神様、お伊勢様というようになってます。戦後に政治と宗教を切り離さなければいけなかった時代があって宗教法人でなければ潰すと。それで宗教法人に入ったのですが、本来なら神社法人を作らなければいけなかったですね。 ★古来、神道は農業からきた五穀豊穣を願っての祈りやお祓いでしたね。仏教が伝来して追いやられてしまった感があるのではありませんか? そこが日本人の鷹揚なとこですよね。今でも世界で戦争がありますが原因はもともとは宗教の違い。ところが日本人は昔から鷹揚な精神がありまして、何でも抱きかかえてしまう。仏教が広まったのは『大日如来は日本の天照大神と同じ日の神様ですよ。厳島の市杵島姫命と弁才天さんとは一緒ですよ、仏教を信仰することは神道を信仰することとなんら変わりはないですよ……』と、お寺さんの広め方もうまかったんですよ(笑)。本来ですと宗教戦争が起こるわけですよ。日本は神道があるからそんな宗教はいらないよということでね。
そうですね。例えばアメリカに行くと何を宗教としているか書かせる時があるんですね。日本人は書けなくて空欄にすることが多い。向うにしたら何を信仰しているんだか分からない人を信用して雇うことはできない。日本の国の神話を聞かせて欲しいといわれることもあるが、語れない。習ってませんからね。神話一つ知らないで日本人として恥をかいて帰ってくることもあるそうです。 ★微妙なバランスと言うことでもう一つ質問ですが、お葬式はやらないんですよね。 やりますよ。仏教が入る前は神道しかないわけですからやってたんです。けれども、神道は汚れを一番嫌う宗教ですからお墓はお寺にしたんですね。日常の信仰となるとお墓を持っているお寺は強いですね。供養しますから。神社が氏子の為に毎日祈っているといっても証がないからなぁ(笑)、と時々冗談に言われますがまさにそのとおりですね。でも今やっと神道墓地というのができ始めてますね。戒名は昔からあるんですよ。神道では霊璽(れいじ)と言います。男性は大人の命と書いてウシノ命、女の人は刀自の命と書いてトジノ命、その下に生前の名前をそのまま書きますね。それを真似たのが実は位牌なんですよ。 ★そうですか。初耳なことが多いですね。慶事弔事以外の一般の生活の中に信仰が根付かなかったのはなぜでしょうね? 日本人の鷹揚的な心が逆に弊害にもなっているのでは、と思いますね。 |
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