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第1回『清洲橋界隈』 2003/3/2
★えっ!八郎衛門号?バスに乗る→清澄庭園に向かう
芭蕉記念館の前に『八郎衛門号』という幕を付けたバスが止まっていました。江東区の北側に位置する『森下商店街・高橋高盛会・高橋のらくろード・深川資料館通り』の四つの商店街が、町の活性化のために期間限定運行を企画したとのこと。東京都現代美術館の入場券も付きでこの界隈を巡っているとの事で乗車することにしました。

ガイドさんは町会のおじさんでした。ちょっとだみ声。でも下町らしくてよかったですよ。バスは清澄庭園に向かいました。
清澄庭園は岩崎弥太郎が隅田川の水を引いて造園したもので、全国から集められた石が周囲の水と緑と調和して美しいそうです。
庭園着。穏やかな日和。鴨、アヒル、巨大鯉が水面でにぎやかしいですが、見とれたいけれど池の周辺は飛び石でつないだ散策路で落ちそうになります。これもまた楽しい。無防備だけど自然でいい。近所の保育園児が遊びに来ていて落ちたことがあると売店のお姉さんの言。それだからって急に囲わないところがこれまたいい。自分の責任で何でもする。行政が何でも責任をもたないことも、必要だと思う。
松の木の雪つりを見上げるついでに空を見る。驚いたことに高層ビルの陰がどこにもない。う〜ん、これなら電線にさえ注意すれば水戸黄門だって撮れるロケーションである。水戸黄門が江戸城に何か文句を言いに来た……なんて時には、是非誘致したいもの。
都会の中のしばしの静寂を味わってから、庭園の脇道を通って深川図書館の裏から清澄通りに出ました。この道の歩道幅は狭く樹木が道路にまで延びて、結構ムードのある道。今日の連れはカメラマンさんですので、まさか腕を組むわけにはいかないですね。残念!
海辺橋の袂に出て信号角の『伊勢屋さん』で昼食。ラーメンと鶏丼、またはカレー丼のセットは680円とお手頃。名物の蜜団子、塩大福、太巻きも食べたかったけど、おなかが一杯であきらめる。食後、海辺橋の袂の松尾芭蕉奥の細道出立の地を見学。ここの芭蕉さん一見の価値あります。芭蕉さんは家の濡れ縁に杖を付いて座っていますが、今まさにこれから奥の細道に出発しょうとするところ。深川に多い芭蕉の像の中では一番若い感じがします。マッカーサーにも似ているという噂もあります。この像は夏はサングラスをかけていることも。冬はマフラー、誰が下げるのか"一句"首から下がっていることも。杖が折られたときは代わりに誰かが長い傘をもたせていたそうで……旅の必需品ではあるけれども、それならば折りたたみ傘がいいよなぁと通りがかりの人が笑っていたそうです。今日は大きな夏みかんがひざに二つ抱かせてありました。

★藤沢周平の世界へ
芭蕉さんにさよならをして北のほうに戻る。目指すは江戸資料館。江戸資料館入り口に昔懐かしい駄菓子屋さん発見。髷を結った大きな人形が目印です。地元の部活帰りの中学生が奥のテーブルでインスタント麺を食べていた。面倒を見ている店のおばさん、その日のことを話しているのかな中学生は。黄な粉菓子やニッキの色ジュースが並べられています。懐かしい風景です。
ケヤキ並木を進んでいくと旧区役所の跡地に建てられて江戸資料館が左手に見えてきます。
300円を払って中に入るといきなり江戸の町の家並みが見渡せる位置に出ました。コンピュータ制御された景色。今は『夜』。三日月が船着場の上に出ています。屋根の上にいる猫が鳴きました。 周りがだんだん明かるくなって、朝が空け始めた演出になりました。

江戸の庶民の暮らしの一軒一軒に朝日が差し込み始めました。この資料館の最大の特色は、どの家にも上がりこめて江戸時代の生活を実感できること。その辺のタンスを開けたり大福帳をめくってもお咎めがないこと。売り物の野菜がとてもリアルで触っても誰からも怒られないこと。夏に入館するとコンピューター制御で雷が鳴ったり夕立が来たりするそうです。
裏長屋の暮らしは『松次』さんちの蜆売りだったり、『お世津』という謡の師匠だったりします。共同厠もゴミ捨て場もあり、洗濯竿にはふんどしが干してあって……藤沢周平の世界を堪能できるお薦め場所です。

★再びバスに→都現代美術館へ
外に出て待つこと5分、バスがやってきました。ここから商店街を抜けて木場公園の中にある東京都現代美術館に行きます。乗車所要時間5分。歩いても15分ばかりの距離です。三つ目通りに面した現代美術館に入りました。
アートの世界は正直言って分かったような分からないような。感性を研ぎ澄ませても理解できないものが半分……でした。私には。でも鮮やかな色使い、はっ!とする色彩の組み立て方になんとなく現代美術が分かったような分からないようなか……やはり、中途半端な感想か。自信を持って書けません。すみません。連れのカメラマンさんも良くわかりませんと言う。二人で軽いため息。
けれどお薦めのコーナーを発見しました。それは二階の円形の喫茶店。大きく切り取られた窓ガラスに沿って丸テーブルがあり60人くらい収容可能。チーズケーキ一つとコーヒー二つでちょうど千円。抹茶アイスが美味しそうだったので追加して、それでも合計1350円。絵を解説した本も置いてあり、とても静かで落ち着けます。絵画を見なくてもこの喫茶店は利用できますから穴場です。
外に出るとちょっと日が翳りだしていました。現代美術館の左側は木場公園。ランニングする人の姿も見えます。
ここから清澄通りのほうに徒歩で抜けます。平野二丁目の交差点を右に曲がると『間宮林蔵の墓』。その先、三好の雲光院の『阿茶の局』の塔などを、途中で見学して、新高橋を渡り高橋商店街に抜けました。この間15分くらいです。商店街を散策。植木を中心にした縁日道路が続いています。蜆屋さんも、甘納豆やさんも出ています。植木屋さんは三色スミレなど100円の鉢も多いし、蘭なども格安。しゃがんで品定めしているおばさんたちの脇から手を出して、幸せ色の黄色のスミレを買いました。

★参考
深川神明宮・森下文化センター……都営新宿線・大江戸線『森下』下車6分
江戸資料館清澄庭園・伊勢屋さん……都営大江戸線『清澄白河』下車5分
都現代美術館……都営大江戸線『清澄白河』下車10分
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