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元さんのとっておき
■第19回 『深川丼と深川めし』
01年05月14日
「深川丼」、「深川めし」って食べたことありますか。
初めて名前を聞く人にはどうでもいいようなことですが、この両者、ちょっと違うんです。さあ、どう違うんでしょう。両方とも名前を耳にしたことのある人は同じものだと思っていた人もいるんじゃないでしょうかねえ。
どちらかというと、深川丼のほうが結構有名だから知ってる人も多いでしょうね。ただ、「学校の給食で出たことがある」って20代の知り合いが言っていましたので、若い人は深川めしのほうがなじみがあるかもしれません。
まあ、両方とも似たようなもんなんですけど、豆知識として知っておくにはおもしろいかもしれませんね。

深川は昔、まだ海でしたから、漁師なんかもいました。その人たちの間で、まかない食としてできたのが深川丼です。ごはんの上にあさりとネギとだしのきいた汁をかけて食べます。ま、あさり汁のぶっかけめしですね。けっこうおいしいですよ。
もともと庶民の味だったんですがこれが最近じゃちょっと有名になってます。子どものおやつだったもんじゃが今じゃ脚光を浴びるようになってきたのと似ています。本当にたいしたことない料理なんですけど、最近じゃ店によっては定食にして1品1000円以上するところもあるようです。なんかグルメってかんじになっちゃうと恐いですねえ。
さて、同じ素材でそれを炊き込みごはんにしたのが深川めしです。深川丼をちょっと高級にしちゃったんですね。確か発祥は江東区常磐の料亭「みやこ」(TEL3633-0385)だったと思います。料亭という店柄からぶっかけめしのままじゃ商品としては出せなかったんでしょうねえ。ただ、以前みやこへ食事をしに行った時、「うちのは深川めしです。深川丼じゃありません。」とご主人が自信をもって言われてました。やっぱり深川めしの元祖としての誇りをもってるんでしょうねえ。
そういう訳であさりごめしをぶっかけにしたのが「深川丼」、炊き込みにしたのが「深川めし」です。
でも、江東区三好の「深川宿」(TEL3642-7878)では深川丼を「昔ながらの深川丼」、深川めしを「現代風深川丼」(そんな名前だったと思う。)という使い分けをしていました。ここのご主人は一度は消えかけた味を復活させた功労者だそうです。そんな人が言ってるんだから、「ぶっかけでも炊き込みでも深川丼」という説もあるのかもしれません。

ところで銀座三越にあの「料理の鉄人」中村孝明がプロデュースしたという「鉄人の深川丼」というのがあるそうです。どんな味なんでしょう。

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