第20号01年08月27日
下町昔話・・・・・行水・扇風機・昼寝

★ 行水
小さかった頃、梅雨のこの時期、銭湯が休みだと
裏路地・勝手口へたらいを出して行水をしたものです。

雨の日でも路地では隣の家や、裏の家の軒先が重なって
雨を除けていましたから、先ず大きな鍋や薬缶に湯を沸かし
たらいを路地に出して、そのすぐ脇にすのこを置くと
簡易内風呂の出来上がり!

大きなたらいへ半分くらい湯を入れて水でうめます。
すのこで掛け湯をしてから、たらいの中へちょこんと座らせられて
しばらく湯に浸かってから、又すのこで、身体全体を洗います。

汚れた水は当然すのこを伝って地面に流れて行き、
垂れ流し状態でしたが、石鹸も今のようなものではなく
自然素材でしたから、環境汚染とまではいかなかったでしょう。

頭のてっぺんから足の先まで洗い終わると
頭から湯を掛けられて、もう一度たらいの中、
最後に少し熱めの湯を掛けてもらいそれでお終い。

風呂上り裸でいるのが気持ちが良くて、
家の中へ入ると裸で駆け回る
すぐに掴まって、〔あせしらず〕を身体中にはたかれる。

とてもさらさらして気持ちがよい、その上に服を着るとべたつかない。
しかし、それでじっとしている訳もなく、
階段を遊び場にして上がったり降りたり、もう汗まみれ

ふと見ると肘を曲げた内側が、汗で〔あせしらず〕が縞になっている
鏡を見ると首も横じまが連なっている。
おでこから流れた汗は顔にも縞模様を作っていた。

★ 扇風機
黒い鉄製、三枚羽根でゆっくり廻り出します。
ダイヤル式でもボタン式でもない。重たい扇風機でした。

なに式と言うのか判らないが
胴体部分の丸い曲線にあわせて弱・中・強と記してある。
それにあわせるために平たいベロのような棒がついていた。
それを左右に滑らせて表示に合わせて使っていました。

羽根に紙を入れ、切ってみたり。
一度はハタキの先を入れて絡ませてしまい、大目玉でした。

★ 昼寝
小さい頃は、必ず昼寝をさせられました。
昔の家は風が良く通りましたから
陽光の当たらない奥の部屋で、幌蚊帳を被せられていました。

幌蚊帳〔ほろがや〕とは、卓袱台の上に被せる傘状の蝿帳
(ご存知ない方もいらっしゃるでしょうね)

これを大きくしたもので、
わざわざ鴨居からぶら下げなくてもいい様に出来た蚊帳です
傘状になっていますから畳んで置けます。
麻を編んだ網の生地に、金魚の絵や朝顔の絵がついていたと思います。

蝿帳〔はいちょう〕は、箱型のものがあり、
食べ物の残りなどを食器ごと、ふきんを掛けて入れてました。

何故か幌蚊帳で寝るのは嬉しかった。
一人分のスペースを占有出来たからでしょうか?

昼寝の時には扇風機は使いませんでした。
扇風機の風に当たりながら寝ると死んじゃうよ
そう言われていましたからね。事実です。