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2.Tギャラクシーはネットショップ
★最初に作られたHPはTギャラクシーですね。週刊T−人とTギャラクシーとの違いはどのようなものですか?
最初はTギャラクシードットコムというカタログみたいなWEBサイトを作ったんです。でも情報発信していないからお客さんは来ないわけですよね。そこで週刊T−人という週刊誌を作ったんです。

★HPの一部ということですか?
はい。そうです。HPの名前を週刊T−人ということにして、URLはT-GALAXY.COMですね。私もうかつな人間でしたので、当時の会社の名前「Tシャツギャラクシー」と、HPの名前「週刊T−人」と、URL「T-GALAXY.COM」が違っていたんですよ。今から考えるとセンスが悪かったですね(笑)。そこで、それぞれ、改名して、SYは名もHPもURLも、T-GALAXY.COM=Tギャラクシードットコムにしたんです。最近、週刊T−人を復刊して、HTMLメールマガジンとして、まぐまぐで配信を始めました。

本社ビル
★ネット販売の世界で久米さんを知らない人はいないですよね。その辺りで何か面白い話はありますか?
インターネットで来るようなお客さんというのは、それぞれ嗜好性が違うのですよ。マスメディアの情報に流されたり、それに群がってしまうお客様は少ないように思います。そして、普通ではかんがえられないような企画に反応するようです。たとえば、私たちが一番応援しているイベントの一つに砂浜美術館のTシャツアート展があります。高知県四万十川のほとり、大方町の砂浜でおこなわれています。年に一度、ゴールデンウイークにTシャツが1000枚くらいはためくんです。クリストのアート作品みたいに。
誰でも参加できて、自作の画像を事務局に送ります。それを私たちが一枚一枚Tシャツにして、そこにはためくのです。地球環境を愛するエコな人たちが企画されているので、オーガニックコットンで作ります。イベント修了後に、自分の作品=Tシャツが潮風と共に送られて帰ってくるのです。このイベントにはいろいろなメッセージが含まれています。高知県の地元の町おこしでもあります。昔のままの美しい海岸を守ることもそうです。そして、何より素晴らしいのが、誰もがTシャツをメディアとして、自己表現をすること、連帯することでしょう。

★コレクターもいるそうですね。
気に入ったTシャツは二枚買うと言いますね。一枚は永久保存用に。東京Tシャツ蕪というコレクターの方々が自慢しあっているサイトがあるのですが、こういうコレクターが増えてくれば、Tシャツの需要も倍増しますね(笑)。
また、ただコレクションするだけではなくて、ご自身で作りはじめます。例えばタイガースマニアの人が勝手に応援Tシャツを作るように。
Tギャラクシーをやっていて面白いと思ったのは....オリジナルTシャツを1枚から作れますよと言った瞬間に、プロが想像もしなかったようなことを始めることですね。素人の方がプロよりもよっぽど創造性に富んでいると思うことさえあります。子育てしている人だったら、子供が描いた仮面ライダーとかをねTシャツにしてしまう。いいですよぉ、似ていないから著作権なんてない!(笑)。
あと、卒業記念にクラス単位で作る場合もありますね。先生がカメラを買って、初めは集合写真だっただけのTシャツが、次は一人一人を撮ってに変わる。次はコラージュとか、手書きのメッセージを加えるなどと、だんだんエスカレートしてきますね。さらにオリジナルの襟ネームまで作ってしまう。「山田組」とかのタグができるわけですよ。Tシャツで、一クラス分を一色印刷で作るなら、衿ネームをオリジナルで作っても、2000円くらいでできたりします。なんだ、ネームをつけても+500円でできるのなら、その分先生が出すから、山田組ってネームを作ってよ、となります。(笑)。で、さらに先生のHPのURLも入れるなんてことになります。

★す、すごいですねぇ。
そのうちに衿ネームを外につけてみたほうがおしゃれ、なんて、だんだんエスカレートしていくんです(笑)。

★プロはそこまでは気がつかなかった?
プロはそんな細かいことはやっていられないでしょう?それに、プロからしてみたらお客さんがデザインするなんて余計なことなんですね。自分たちがデザインした商品だけ消費していればいい。でもお客さんは自分で作ってしまったほうが楽しいことを気がついてしまったんです。

★やはりそれは、Tギャラクシーがあったからですね。
まあ、Tギャラクシーというよりも二つの技術革新ですね。インターネットとデジタル画像処理。デジカメ、スキャナーと、お手軽画像ソフトで、プロも顔負けのことまでできてしまう。すごい時代になりましたね。Tギャラクシーのお客さんは自分でほとんど画像をデザインし、メール添付送ってくるのです。

★やはり、遊びの部分がないと見るほうもつまらなくなりますね。
そうですね。でも趣味でやっている人にはかなわないですよ。時間度外視。なんでここまでやるの、ってね(笑)。

★最初、仕事でやっているのはつらいけど、という話があったじゃないですか、でもTギャラクシーを見た人はそのような感じは受けなかったって。
辛いんですけど、私の仕事の中で言うと楽しいことになる、ってことは実際にはありますね。例えば、ゲートボールのおじさんたちの団体。とにかく一番いいのをください、って言うんですね。11色で作って、なんてね。うちの機械は11色なんて大変なんですよ。それでもお金出すからやってください、って。こんな人たちに出会うと僕もTシャツ屋をもう少しやっていようかなって気持ちなる。法人向けで切った張ったの商売に比べたら楽しいですよ。

★もう少しネットの話を。Tギャラクシーが伸びた秘訣を?
本当のところはよくわかりません。ただ、Tシャツで面白ことをやっている人にたくさん会おうと思いました。T-GALAXY.COMのHPやAllAboutJapanなどで、Tシャツで面白いことに挑戦している人を、なるべくご紹介しようと思っています。またTシャツと関係なく、毎日届いたメールの中から面白い1通を選んで、縁者にお送りする「縁尋奇妙」というメールマガジンも続けています。もともとこれは、社内向けメールだったのですが、仕事、遊びの話題を織り交ぜてもう7年続いています。7年前から続けていますと、いち早くインターネットを使って頑張っている人はいろいろなジャンルで活躍されているわけですね。また、新サイト、新ショップ、新NPOを作ったなどと、どんどん新展開もされています。これは、一縁者として嬉しくなるんですね。これを応援しようよとメールを出すと、個人的にも気持ちいいですし、縁者も読者も喜んでくださる。新しい縁が生まれることもあります。だれもが勝手に互助する組織みたいになるのですね。ですから、メール受発信で大切なのは、人を応援するメールをどれだけ出したかではないかと最近思います。メールは1日200通くらい届いて、返信や、メールマガジンの発行も大変そうに見えますが、毎日続けているとそれほど苦にはなりませんよ。かえってやらないと変。私の場合、仕事もプライベートもおなじアドレスで、受信箱も一緒ですから、上から順番に読みます。そんな筆まめさが、ネットコミにつながっているのかもしれません。

下町は色々入りすぎてごちゃごちゃ
3.尊敬するのは余語老師
★では久米さん御自身の話を。お生まれはどちらですか?
石原町です。下町でしかもエアコンがない時代だから窓は開けっ放しです。朝顔のつるが窓下に伸びていて、銭湯というオープンコミュニティーも健在で、風呂桶を持った人が通りかかって、他所の家なのに覗き込んで「今日はカレーだねぇ」なんて、そんな中で育ちました。祖母の話では、戦争の疎開で、もともと住んでいた人は半分しか戻ってこなかったそうです。後の半分は新しい人。昔からの人ではないけれども、でも似たような人々だったそうで、年恰好、家族構成も似ていて、同じような夢を持っていた人たち。自営業でどの家もどんぐりの背比べで、価値観がそこそこ一緒だった。ですから共感も生まれやすかったのでしょう。僕の子供の時代はそんな下町のよさが残っていました。

★下町の好きなところは?
新しい人が入ってきて、海外の人もたくさんいるところですかね。この辺は新しいものと古いものとがごちゃごちゃ。これがいいんですね。富士ソフトABCのでっかい本社ビルの前が風俗店、なんでこんなところに作るんだって感じですけれどもね、まあいいかぁ(笑)と。小林一三翁楽天地があって魚寅があって。で、北口にくれば、ダイソーとクイーンズ伊勢丹もある。将来はオランダのレイチェ通りになるんじゃないか、っていうくらいのエスニック料理の宝庫です。タイ料理、インド・パキスタン料理、ベトナム料理。それに昔ながらの甘納豆屋があって、駄菓子問屋があって。さらに半蔵門線が来て、もうごちゃごちゃ。でもいい町です(笑)。

★どのようなお子さんでしたか?
肥満児でしたね。最初にできた子だったんでいろいろ食べさせられて(笑)。あと、嫌ないじめっ子だったと思います。悪さしてボーイスカウト入れられて、今度はいじめられっ子になって、それで、まともかどうか分かりませんが腰が低くなったのかもしれません(笑)。

★最後に座右の銘を教えてください?
別にないです。難しいです。尊敬する方はいます。大雄山最乗寺の余語老師です。私はちょっと下心で座禅の会に参加したんですね。そしたらまず老師様が「皆さんこに来て座禅を組んだらいいことがあるということは絶対ありませんので安心して座ってください」って。修行すらしないでいい。よくわからないけれどそれで楽になりました。
法という字は左が川で右側は去るですね。天地のほうは流れさってどんどんかわっていくもの、ところが人間の方はいつも固まっている。これで皆が苦しむことになる、と老師様は言います。それもなんかよくわからないけれど肩が楽になった。ゆるゆるといく。悟る悟らないと言っていること自体が、迷いだ、と、言われました。僕はまだまだです。

★良い言葉ですね。今日はどうもありがとうございました。


優しくきれいな言葉、心の中にスーと入ってくる久米さんの目の力。すごいです。久米さんの講演をお足無しで聞いて得したような、……久米さんにお布施を払いたいような(笑)。
取材終了後、豊かな気持ちになりました。出会いに感謝です。
※2003年8月収録
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