下町の顔 | FACE |
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第12回 『人工衛星を試作する町工場』 |
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(有)清水機械 代表 山崎 秀雄さん |
取材日程がどうしても取れなくて、職人さんたちが年二回慰労会をする場所にお邪魔しての取材となりました。当然お酒が……不謹慎のそしり免れないかもしれませんが、慰労会ゆえにたくさんお話いただいてむしろホッとした下町探偵団です。 実は、気難しい職人さんたちだから大変な取材になるだろう、と充分な覚悟で訪問しましたが、皆さんとてもざっくばらんな方たちで、そして宇宙に発信している町工場の現場が平均年齢63歳で支えられていることは、大変な驚きでした。 めったにない取材現場になりました。その味を出したく、今回はあえて慰労会ライブでお届けしたいと思います(-_-;)。
★清水機械さんが製作してるものは宇宙開発関連等のイメージですが、そういうことでよろしいでしょうか? 宇宙開発のシェアは4割くらいですかね。頼まれればなんでもやりますから、そのほかの機械部品もいろいろ作っていますよ。 ★何人でやられているんですか? 5人ですね。一番上が76歳、一番下でも56歳です。分担がありましてね。事務したり営業全般見たり。私は全体を気配りする係りですかね(笑)。頑張ってくれているのは現場の四人で、図面を描いたり、旋盤したり穴開けたり……。 ★例えば町工場さんが、自分たちでいろいろ試行錯誤して作って、特許とって、とかありますよね。清水機械さんはそういうこともしてるんですか? うちは特許をとってきたりはしないのです。でも、依頼されたものが100パーセント駄目だなというときは別として、とりあえずトライしてみようというのがうちの全員で持っているモットーですね。他の会社だったら、これはめんどくさいとか、これはやったことがないとかということで躊躇のする場合でも、うちはやりますね。私の頭の中で、これなら実際にできるんじゃないかなぁと思えば引き受けています。職人さんにはそれぞれ性格があって、得意分野があるわけですよ。細かい仕事が得意とか、根気があるとか。集中力忍耐力も必要ですから、この部分はこの職人がやる、こっちの部分はもう一人の職人ができる、と私の頭の中で算段するわけですよ。 ★他の会社ではできなかったけど、清水機械さんだったらできるんじゃないかと持ち込まれることもあるんですか? そうですね。多少あるかもしれません。他の会社が余りやらないものには挑戦はしてきましたよね。うちはうちの現場だけではなく、この街ん中にも仲間がいっぱいいるから恵まれていますね。 ★清水機械さんのネットワークにはすごいものがあるんですね。 横の連携は木工が3社、機械関係でも30社ありますね。プラスチックも。うちも他も規模的に小さい。小さいところがいっぱい集まってスクラム組んでね、大きいメーカーさんに負けないようにしてるんです(笑)。 ★宇宙船とかロケットとか本物を作る前段階を引き受けているということですか? そう。実験用の模型をね。例えば大気圏出るときの摩擦熱の実験用。何千度の温度をかけると10秒くらいで溶けてしまう。本当は80秒くらい持たせたい。そういう実験を何度も何度も繰り返しやるので部品も数量多く作らなければならないですよ。ロケットの一番大切な部分ですよね。そういうところは試験をしないと。一回で大きなもの作って駄目になったら国の損失じゃないですか(笑)。ある程度よくなると大企業が作るんですけどね。 縁の下の力持ちということ。完成する前のいろいろな準備。完成すれば大手が出てくる。 ……ちょっと行くところ行ってくるから誰かしゃべっていて(笑)……、(山崎さん退出)。
―――――再開――――― ★お得意さんは宇宙科学研究所ですか? 宇宙開発事業団と宇宙科学研究所と航空宇宙技術研究所の三つがあるんですけど、今度の10月に正式統合するそうですよ。 ★宇宙開発関連に係わった最初のきっかけは? ここの近所に熊取屋(ゆしや)製作所というのがありました。日本が宇宙開発を始めた初期から手伝っていた会社です。そこの人が亡くなって、専務だった斉藤さんが(株)斉藤を興したんです。その時に国産スペースシャトルを飛ばすゴンドラというのを、うちが下請けでやったんですね。その後、(株)斉藤さんも亡くなって、宇宙研の先生方が困っちゃって、清水機械でやってくれるかって。それでやるようになった。 ゴンドラの見本を見せてやるから。マイク外して。(再び山崎さん退出) ―――――再開――――― (ゴンドラの見本を見ながら) ある一定のところにいくと火薬でバンドを切って、すとんと切り落とされるんです。19キロくらい上昇して切り離してして着地がきちんとできるかの実験だったんですよね。これは。 |
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